【ネタバレあり】冥界エスケープ
用語
種族
本来は2種類のヒト、すなわち悪魔と人間しか存在しない。
それらの生息域が重なったことにより、先天的混血種のカンビオン、並びに後天的混血種の魔女が出現するようになった。
悪魔という呼称は人間によって付けられた蔑称だが、当の悪魔達は気にしていないどころか、人間達の畏怖から生まれた呼び名ゆえに好んで自称している。
悪魔 | カンビオン | 人間 | 魔女 | |
---|---|---|---|---|
概要 | 魔力のあるヒト | 悪魔と人間の混血 | 魔力のないヒト | 悪魔と契約した人間 |
魔力 | 〇 | 〇 | × | △ |
体力 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
記憶 | 来世に引き継ぐ | 来世に引き継がない | 来世に引き継がない | 来世に引き継がない |
特徴 | 草食動物の一部がある | 見るに堪えないほど醜い | 一切の魔法が使えない | 魔力を増やせる(※) |
※魔女が契約相手の悪魔を殺すと、強い負の感情を向けていた場合に限り、その悪魔が持つ膨大な魔力を継承できる
冥界
悪魔も魔女も人間も、死んだら別の星で生まれ変わる。
どの星で転生するかは魂の性質に応じて決まっており、Aで死んだらBで生まれ、Bで死んだらAで生まれるといった具合に2つの星の間を行ったり来たりする仕組み。
一方はもう一方にとっての冥界であり、逆もまた然りと言って差し支えない。
便宜上、以降は地球で死んだ者が行く星を"あの世"と呼ぶ。
地球と"あの世"は数百億光年も離れているため、それらの間を乗り物で移動することはできないものの、悪魔や魔女であれば儀式魔法によって行き来することが可能だった。
ストーリー
第四次世界大戦
事の発端は第七次海底大戦にまで遡る。
ミトー・アーセナルの予想ではパシフィス連邦の率いる民主制陣営が大勝し、地上へ侵攻してくる可能性が高いとされていた。
そのため、ミトー・アーセナル中央研究所に所属しているダリヤの発案で、ナオミに戦闘訓練を施してアトランティス王国へ送り込んだ。
民主制陣営と君主制陣営の戦力を拮抗させ、相討ちになる展開を狙ってのことだったが、ナオミ改めウズニツァが強すぎたためにアトランティス王国の率いる君主制陣営が余力を多く残して勝利してしまう。
いざとなったらウズニツァにガラテイアを暗殺させれば良い――ダリヤはそのように考え、地上の平和は守られたかに思えた。
だが、またしても予想外の事態が発生。
パフォスに脅迫されて命の危険を感じたAI"予言者"に自我が芽生え、自身へ害を及ぼし得る人類全ての支配に乗り出す。
完全にノーマークだったため、第四次世界大戦とは名ばかりの一方的な蹂躙が行われ、人間は"予言者"を初めとする機械の燃料として飼い殺されるだけの存在に成り果てた。
避難計画
策が尽く裏目に出てしまっていたダリヤだが、起死回生の一手として、地球にいる10億人を物理的に"あの世"へ逃がす計画を立てる。
アンジェラと共に儀式魔法で"あの世"へ移動し、先代国王の娘エカテリーナを利用することにより、仮に避難計画が失敗した場合は彼女の手で"予言者"を破壊させられるよう布石を打った。
まずは前世の娘であるローザに接触し、エカテリーナの母を殺害するよう命令。
エカテリーナがダリヤと契約して魔女にならざるを得ない状況へ追い込み、力を与えた代償として女王カテリーナが治める王国の転覆に加担させた。
それから、人間を喚起できる
そのことでエカテリーナに憎まれるが、それもまた布石の1つだった。
ソフィアの力があれば、10日で地球の住民10億人を全て"あの世"へ避難させ、燃料を喪失した"予言者"を稼働停止に追い込める。
しかし、その間に"予言者"が"あの世"の存在を知って攻め込んでこないとも限らないため、より短期間で決着させるための準備も並行して進めねばならなかった。
破壊計画
ダリヤの計画に疑問を抱いていたアンジェラ、そして利害の一致したカテリーナやハンナの助力によってエカテリーナは命からがら逃げ延び、カテリーナと契約して母の仇であるローザを討つ。
その後、同じくカテリーナと契約していたハンナがカテリーナを殺害し、激昂したエカテリーナに殺されることで、カテリーナから奪った力をエカテリーナに受け継がせる。
ダリヤも意図的に自身を殺させ、史上類を見ないほど強くなったエカテリーナは儀式魔法で地球へ行き、"予言者"を排除して人類滅亡の危機を回避したのだった。
登場人物
エカテリーナ・"ヴィントフカ" - Ekaterina "Vintovka"
"
作中では小銃や対物狙撃銃を使っていた。
先王と側室の間に生まれる。
母の妹、すなわち叔母に当たる正室ソフィアの策略で殺されかけ、母と共に城から逃げた後は辺境の地で平民として暮らしていた。
ソフィアの娘カテリーナは従妹であり、また異母妹でもある。
魔女と契約しても魔法が使えるようになるだけで、身体能力が向上したりはしない。
しかも、エカテリーナは母が営む宿屋の手伝いをして育ったため、争い事とは無縁な生活を送っていた。
そのため戦闘は不向きなように思えるが、父に似て才能があり、更には銃が発明されていない世界でライフルという強力な武器を使える点が見込まれ、"予言者"打倒のために最適な人材としてダリヤに選ばれる。
魔女は別次元の存在(プレイヤー)の意思を「声」として聞く力がある。
素質に恵まれた者ほど頻繁かつ明瞭に聞こえ、未熟な内はそれに従いがちだが、成熟してくるにつれて自分の意思を貫けるようになっていく。
終盤、真理に至ったエカテリーナは「声」の主と会話できるまでになっていた。
ダリヤ・"カーミン" - Darya "Kamen"
山羊の目があり、作中では石の刃物や隕石を使っていた。
前世は王国の宰相で、先王の側近として
ところが、ソフィアが先王を暗殺した際、エカテリーナとその母が逃げる時間を稼ぐために戦って命を落としてしまった。
難敵を葬ったソフィアはカテリーナを傀儡として王位に据え、私利私欲の限りを尽くして、10年以上にわたる暗黒時代の象徴として悪名を馳せる。
数えきれないほど転生を繰り返す中で、上記のような失敗を何度も経験。
現世では13歳にして飛び級で名門大学を卒業し、ミトー・アーセナルへ入社してアトランティス王国関連の諸問題解決を一任される。
すっかり自信を喪失し、今回も失敗するに違いないと考えて固辞し続けていたが、人を見る目が確かな社長の熱心な交渉に折れる形で承諾した。
一転して人類存続のため仕事へ没頭するようになり、寸暇を惜しんで
もしその場にダリヤがいたらエリザベスの凶行を止められただけに、やることなすこと裏目へ出てしまう運命にあったのかもしれない。
しかし、最終的には"予言者"の手から地球人を救い、社長の見立てが正しかったことを証明した。
エカテリーナとの決闘時、通話していた相手は件の社長。
もちろん本人ではなく、生前の記憶から作られたAIで、エカテリーナが地球へ行った後のサポートを彼がする手筈になっていた。
永劫回帰について語ったり、作戦開始の合図を「神は死んだ」にしていたりと、事ある毎にニーチェを引用していたのも社長の影響とされている。
アンジェラ・"サンダーボルト" - Angela "Thunderbolt"
作中では雷を攻撃や防御等に使っていた。
ミトー・アーセナル傘下の民間軍事会社、ミトー・エアベースに勤めている。
同社の最高戦力ゆえにダリアの相棒として抜擢され、妹のアンジェレを初めとする人類救出のため"あの世"に向かう。
だが、肝心の妹を"予言者"に殺されてしまい、一時的に戦意を喪失。
ダリヤの悠長かつ多数の犠牲を伴う計画に疑問を抱き、彼女が裏切った時は身を挺してエカテリーナ達を逃がした。
人間の体へ電気を流して意のままに操れる。
ダリヤの計画ではソフィア、および平行世界から呼び出させたソフィア達を操り、地球にいる人々を救わせる役割を担っていた。
アンジェラの死によって計画は頓挫するかと思いきや、ダリヤは平行世界のアンジェラをソフィアに呼び出させ、本人の代わりとしたことで事なきを得ている。
本作で髪型が変わっているのは、1作目で自らが粛清したパフォスを偲んでのこと。
戦争を回避するために致し方なく手をかけたとはいえ、それなりに親交があったので何かしら思うところがあったようだ。
魔女としての素質に溢れているため、常時「声」が聞こえてしまう。
ヘッドホンから流している大音量の音楽で物理的に「声」を掻き消し、会話している相手の声が全く聞こえない問題については読唇術や、魔法で人体に走る電気信号を感知する等してカバーしている。
カテリーナ・"ジャヴェロット" - Caterina "Giavellotto"
悪魔に見えないが、実は豚の尻尾が生えている。
王国と帝国の2つを統治する。
正式な名はカテリーナ・ディ・レンニョ・ディンペーロ(Caterina di Regno d'Impero)で、名前の後ろにある「ディ・レンニョ」は「王国の」、「ディンペーロ」は「帝国の」を意味する肩書き。
幼少の頃から何度も命を狙われてきたせいで不眠症を患い、昼間の公務で居眠りするところを度々目撃されていたため、国民に「惰眠王」という不名誉な
自堕落な性格ではあるものの、母と違って浪費癖があるわけではない。
他人のために戦える強さも持ち合わせており、最後はハンナの計画に乗ってわざと彼女に殺され、自身の魔力を間接的にエカテリーナへ譲渡した。
ソフィア・"チェロヴェーク" - Sophia "Chelovek"
作中では平行世界のエカテリーナやアンジェラを呼び出していた。
その悪業は枚挙に暇がなく、王国一の悪女として後世に語り継がれている。
囚われの身となってからは地球人の救出に協力させられ、ダリヤがエカテリーナに殺された後は牢獄から脱走し、その後の行方は
ローザ・"プニャーレ" - Rosa "Pugnale"
作中ではプッシュダガーを使っていた。
前世のダリヤが儲けた一人娘で、近衛兵として頭角を現す。
ダリヤの計画に組み込まれながらも全容は知らされず、初戦でわざと負け、再戦時に本気を出して勝つよう指示されていた。
1戦目であっさりエカテリーナにやられた際、その理由付けのためにダリヤがローザのことを下っ端呼ばわりしていたが、実際は近衛隊長を務める程の実力者。
2戦目の時点でも到底エカテリーナの敵う相手ではなく、雨の中、すなわち着用したケブラー繊維が濡れて劣化している状況でなければローザが勝っていた。
水を浴びたら防御力が下がる旨をエカテリーナに教えたのはダリヤなので、実の娘でさえもエカテリーナを強くするための噛ませ犬として使ったダリヤの非情さ、あるいは決意の強さが窺える。
ペストマスクの嘴部分には様々な薬草や毒草が詰められている。
その恩恵で、近衛兵は瞬きという生理的な隙を完全に克服し、敵の手へ落ちそうになったら即座に自決するための手段としても用いていた。
ハンナ・"シュトゥーカ" - Hanna "Stuka"
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作中では降下中に"悪魔のサイレン"が鳴る、旧式の爆撃機を使っていた。
行いの99%が善行で、残りの1%は悪行が占める。
本作では、反応を楽しみたいからという理由でエカテリーナの右腕を奪い、アンジェラに推し変したからという理由で
その一方で悪人を演じ、最終的にエカテリーナが"予言者"を破壊して地球を救うための礎となった。
ダリヤの計画では
その穴埋めとして"悪役"の自分を討たせ、エカテリーナの心が罪悪感で壊れてしまうのを回避している。
第二次世界大戦中に「声」が原因で大きな過ちを犯して以来、全魔力を封印し、別次元から干渉されないようにしていた。
(3作目で急降下爆撃機を喚起せず、ミトー・アーセナル製の無人爆撃機を用いていたのはそのため)
"あの世"に来てカテリーナと契約し、封じていた魔力が戻ったため再び「声」を耳にしつつも、歪みに歪んだ心はもはや誰の言葉にも影響されず、「声」の主であるプレイヤーに対して経緯や用語の説明をする余裕すら見せた。
エカテリーナ・"ノーシュ" - Ekaterina "Nosh"
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作中ではキッチンナイフを使っていた。
言わば「もし母の死を受け入れられなかったら」という仮定に基づく平行世界のエカテリーナで、心が壊れてしまったために食人鬼と成り果てている。
戦闘は"食事"のための手段と考えている節があり、それゆえに戦闘能力は高くない。
G - Golf
ニーナのコードネーム。
本名が月下なので、その頭文字「G」のフォネティックコードから名付けられた。
アンジェラの力になれなかったばかりか、ダリヤの策略でエカテリーナ達をアンジェラの仇と思い込んで交戦した挙句、仲間もろともハンナに爆撃されて死亡する。
魔法が使えない普通の人間であるにもかかわらず、刀一本でしばらくカテリーナと渡り合える程度には手強い。
S - Sierra
ウズニツァのコードネーム。
スナイパーなので、その頭文字「S」のフォネティックコードから名付けられた。
計画に参加せず、地球に残ったハンナが翻意した場合の対抗策として、ダリヤの手で"あの世"に連れてこられた。
人類を救うため、自主的にダリヤへ従っている。
少女 - Girl
ナオミ、つまり過去の
アンジェラによって確保されたソフィアの身柄がハンナに引き渡された際、ハンナがソフィアを脅して喚起させた。
(エカテリーナを逆境に晒すため、用済みになったソフィアはダリヤの仲間に譲渡)
ハンナの手引きでエカテリーナと仲良くなり、2人で夕食を楽しんでいた時に爆撃されてあえなく命を落とす。
それはエカテリーナにハンナが悪人だと思わせるためであり、悪人でない