【ネタバレあり】Kill Me If You Can ~殺れるもんなら殺ってみろ~

Kill Me If You Can ~殺れるもんなら殺ってみろ~

ストーリー

霊体兵器の発明

使用者の魂と体を分離し、触れた人や物への憑依を可能にする――
そんな危険極まりない兵器「亡霊ファンタズマ」をミトー・アーセナルが極秘裏に開発し、あろうことか名刀みとう家当主の孫、名刀みとう雪裏せつりを被験者として臨床試験が行われた。

霊体兵器の発明

憑依能力は一時的なものに留まるはずだったが、雪裏せつりは恒久的な能力の獲得に至る。
力の濫用を恐れたミトー・アーセナルは魂が体から離れていられる期間を3日に制限するも、それ以上の有効な手立てを打てずに終わった。

名刀みとう一家殺害事件

国際的な捜査機関が霊体兵器の存在、そして名刀みとう家の誰かがその使用者である事実を掴む。
兵器と使用者の双方を闇に葬るため、超法規的措置として一家全員に高額な賞金をかけ、賞金稼ぎエリザベス・シャールカーニを送り込んだ。

事件が起きたのは次期当主の結婚式当日で、一家の者は1名を除いて全員が出席していた。
エリザベスはその場にいた新郎新婦の友人や知人、式場のスタッフ等を騙して1か所に監禁し、名刀みとう家の人間だけを殺害する。

名刀一家殺害事件

殺めたところで霊体兵器の排除には繋がらないと気付き、幼い3人については誘拐および幽閉に留めようと考えたものの、通報を受けた賞金稼ぎハンナ・アードラーの誤射によって2人が死亡してしまう。
その際、誤射された犠牲者の1人である名刀みとう花陰かいんは生に強い執着があったため、持ち歩いていた思い入れのあるビー玉に憑く。

それを手にした唯一の生き残り、ニーナ(名刀みとう月下げっかへ間接的に憑依し、返り討ちに遭ったハンナの代わりにエリザベスを拘束した。
かくして31名の犠牲を出した悲劇的な事件は幕を下ろしたが、この時の誤射が引き金となって新たな事件を引き起こしてしまう。

なお、直系の血縁でありながら「名刀みとうを名乗る資格なし」として式へ招待されなかった名刀みとう風漣かれんも別の賞金稼ぎに狙われていたが、難を逃れて現在は消息を絶っている。

捜査機関の壊滅

事件後、雪裏せつりは人から人へと乗り移って欧州にある捜査機関本部へ到達し、名刀みとう家を絶やそうとした関係者全員に報復を果たした。
それが発端となって件の捜査機関に関する一切の情報が抹消され、その名前すらも永久に失われたので、こうして「捜査機関」と呼ぶしかない状況になってしまっている。

捜査機関の壊滅

賞金稼ぎ狩り事件

ハンナに誤射された恨みを晴らすべく、花陰かいんニーナの体を使い、ハンナの仲間である賞金稼ぎ2名を惨殺した。
いずれも現場に「Bounty Hunter x2バウンティ・ハンター・ハンター」という血文字が残されていたことから、本件は賞金稼ぎ狩り事件と呼ばれている。

真犯人と模倣犯を区別するため、捜査当局は被害者の遺体が解剖され、臓器が取り出されていた事実を公表していない。
だが、ハンナと組んでいた賞金稼ぎヤスミン・カヴァリーニはそれを知り、賞金稼ぎ狩りの犯行に見せかけて仲間の1人を手にかける。
容疑が固まっていない被疑者へ私刑を下した挙句に命を奪ってしまった過去があり、そのことが明るみへ出るのを防ぐためだった。

最終的に花陰かいんハンナ本人への復讐を敢行したものの、ニーナの妨害に遭い、ハンナ憑代よりしろであるビー玉を破壊されて未遂に終わった。

賞金稼ぎ狩り事件

真相の判明

名刀みとう一家殺害事件におけるハンナの誤射が意図的なものだったことを3名の人物が知る。
ハンナは拘置所から脱獄していたエリザベスの口を封じ、自身へ憑依していた雪裏せつりに交渉を持ちかけ、ヤスミンへ憑かせて諸共に放逐することを画策。
その目論見はヤスミンの奇襲によって打ち砕かれ、ハンナヤスミンは法の裁きを受けるのだった。

真相の判明

登場人物

名刀みとう・"ニーナ"・月下げっか - Mitoh "Nina" Gekka

名刀・"ニーナ"・月下

名刀みとう家当主の孫で、私立女聖めへずり学院に通っている。
日本人と東欧人の間に生まれ、容姿と本名が合っていないように感じていることから、普段はニーナという通名を使う。

眼帯や玩具の刀を愛用しているため、思春期特有な一過性の病気を患っていると思われがち。
実際のところ、眼帯は誤射によって失われた眼球の代わりに眼窩がんかへ入れている花陰かいんのビー玉を隠すためのもので、鞘はともかく刀自体は真剣に他ならず、脱獄したエリザベスから身を守るために携行していた。

一連の事件後、ハンナのクローンであるアンジェラの大ファンになった。

ハンナ・"急降下爆撃機シュトゥーカ"・アードラー - Hanna "Stuka" Adler

ハンナ・"シュトゥーカ"・アードラー

元賞金稼ぎの魔女で、現在はヤスミンのサポートを担当。
賞金ランク1位、すなわち賞金女王として世界中で活躍していたが、名刀みとう一家殺害事件で犯した失態の責任を取って引退した。
車椅子を使っている理由は「エリザベスと交戦した際に負傷して右脚に後遺症が残ったため」としているが、実際は問題なく歩ける。

魔女ゆえに長命で、いつから生きているかは定かでない。
第二次世界大戦中は大量殺戮を初めとした、枢軸国による非人道的な残虐行為の数々に関与していた(または関与させられていた)疑いがあり、それが原因で倒錯的な嗜好へ目覚めたとされている。

急降下爆撃機シュトゥーカという異名は、危険を顧みずに敵地へパラシュート降下し、敵の人員や施設だけを榴弾等で吹き飛ばす戦闘スタイルから名付けられた。

ヤスミン・"未亡人製造機ファブリカ・ヴェドヴェ"・カヴァリーニ - Yasmin "Fabbrica Vedove" Cavallini

ヤスミン・"ファブリカ・ヴェドヴェ"・カヴァリーニ
ヤスミン・"ファブリカ・ヴェドヴェ"・カヴァリーニ

賞金ランク13位の賞金稼ぎで、大の唐揚げ好き。
日常生活においてメイド服を常用し、公の場では「失礼がないように」という理由でドレスを着用する。
その独特なセンスはジャパニメーションやハリウッドセレブに影響を受けて培われた。

母共々、長きにわたって父の家庭内暴力に晒された結果、自身の存在感を消せる能力に目覚めた。
ところが母は帰らぬ人となってしまい、自分と似た境遇の母子を救うため、ハンナへ弟子入りして賞金稼ぎになることを決意。
妻子持ちの生死を問わない賞金首デッド・オア・アライブばかりを仕留めることから、未亡人製造機ファブリカ・ヴェドヴェという二つ名で恐れられている。

ちなみに本名はフランチェスカ(Francesca)だが、忌み嫌う父に付けられたその名を捨て、以後はハンナの提案でヤスミンと名乗り始めた。

エリザベス・"吸血鬼ヴァームピール"・シャールカーニ - Elizabeth "Vampir" Sarkany

エリザベス・"ヴァームピール"・シャールカーニ

元賞金稼ぎの死刑囚。
殺害した人数が多く、世間に与えた影響も大きい上、自白して控訴も行わなかったため、逮捕から僅か2年以内に死刑が確定した。
極度の拝金主義者であり、大金が得られるなら違法行為に手を染めることも厭わない。

ハンナの幼馴染であり、それは即ちエリザベスも長命な魔女に他ならないことを意味する。
精神年齢はハンナより高く、例えばヴェーレル・エルジェーベト(Verrel Erzsebet)という本名を隠して偽名で活動したり、容姿を別人と見違えるくらいに変えたりして、恨みを買った相手に身内が害されるのを防いでいた。

しかし、彼女も彼女で"吸血鬼ヴァームピール"の呼び名に違わず、人の血――特に若い女性の血液を好んで吸うという、歪んだ嗜好を持つ。

名刀みとう・"賞金稼ぎ狩りバウンティ・ハンターx2"・花陰かいん - Mitoh "Bounty Hunter x2" Cain

名刀・"賞金稼ぎ狩り"・花陰

名刀みとう家当主の孫で、運動が得意。
刃物の扱いに長けており、一線を退いた後とはいえ、包丁1本でハンナを窮地に追い込むほどの実力を有する。

名刀みとう・"亡霊ファンタズマ"・雪裏せつり - Mitoh "Phantasma" Setsuri

名刀みとう家当主の孫で、勉強が得意。
本作は神の視点から見た物語に思えるが、実際は彼女の一人称視点で描かれたものであり、そのようにミスリードしてしまう原因は彼女が自身を「雪裏」と名前で呼ぶことにある。

祖父 - Grandfather

ニーナ達の祖父。
名刀みとう家当主にして、ミトー・アーセナルのオーナー社長。

名刀みとう一家殺害事件で命を落としたが、役員達の意向で彼の死は伏せられ、以降は生前の記憶から作られたAIによって会社経営が行われている。
今は亡き本人と区別するためか、ニーナのスマホには「スポンサー」という名前で登録されていた。

処刑人ブロー - Bourreau

ハンナの仲間。
呼び名の通り、斬首を初めとした処刑方法に詳しい。

女王レイナ - Reina

ハンナの仲間。
呼び名の通り、とある国の女王だが、実権はないに等しい。