【ネタバレあり】帰宅部に入ったんだけど


ストーリー

脱獄


今や2人しかいない跡継ぎを1か所に留めるのは愚策。
そう考えた名刀みとう氷人きよひとカレン(名刀みとう風漣かれんだけを国外に逃がし、跡継ぎが全滅するリスクを最小限に抑えた。

しかしエリザベスに害意はなく、国内に残していたニーナ(名刀みとう月下げっかが護衛の賞金稼ぎ2名と共に全くの別件で逮捕されるという、予想外の事態に見舞われてしまう。

入国

第七次海底大戦時、ミトー・アーセナルは君主制陣営の勝利に貢献していた。
そのため、アトランティス王国の植民地であるガンジス公国は鎖国中であるにも拘らず、カレン小笠原オリアナの入国を許可する。

それとは別に、アトランティス王国の同盟国であるメガラニカ帝国(に属する小国)の女王、レイナ・インドランシスも立場を利用して入国していた。
早々に不穏な動きを察知していたが、盟友であるはずのアトランティス王国による関与が疑われたため、警察や軍は頼れないと判断。


その結果、カレン本人には何も知らせないまま、彼女を餌として犯人が食いつくのを待つ作戦に出た。

襲撃

一獲千金を狙った木造こづくりサラがカレンを襲撃。
小笠原のみならず、宇都宮ウルスラから借りたばかりのブッチャーまで倒されてしまう。


ところが、予備戦力を失ったレイナ氷人きよひとに新製品の公表を要請。
軍事目的で開発されていた「身体能力を強化する薬」の発売が予告されたことで、木造こづくりは一転して窮地へ陥る。

ミトー・アーセナルの株価が大幅に上昇したため、借りた株を返す際に利益を上回る多額の損失が発生しかねない。
その焦りから、まんまとキルゾーンである教会に誘い出されて御用となった。

なお、この襲撃は違法な賞金稼ぎによるものだったと後日報道されている。
軍事企業であるミトー・アーセナルには敵が多く、ダークウェブで莫大な懸賞金がカレンの首にかけられていたので、それが主目的だったと木造こづくりが自供したためだ。

テロ

留置所にいる方が安全と考えたレイナの策略で、カレンめしテロの濡れ衣を着せられる。
ガンジス公国は深刻な食糧難に見舞われており、折しも計画停電ならぬ計画断食の最中だったことから、美味しそうな映像で食欲を掻き立てられた国民が食料を無計画に貪った。

結果として食品は異常に高価なものとなるが、これほどの影響が出たのには理由がある。


ミトー・アーセナルが発表した「身体能力を強化する薬」には、少ない栄養で効率的に生命活動を行えるようにする作用があった。
そのため、食料不足が深刻化しても飢えずに済むと人々は考え、一時の欲に屈してしまったのである。

影響

食材を仕入れられなくなったことで、飲食業界の株価が暴落。
調達できた数少ない食材も流通の過程で横領される事件が多発し、木造こづくりが保有していた飲食関連の株は完全に価値を失い、ミトー・アーセナルの株価が上がった件とのダブルパンチで破産に追い込まれる。

だが、レイナの狙いは他にあった。
「腹が減っては戦はできぬ」という名言に着想を得た、兵糧攻めによる内戦の阻止だ。

世界的に食糧危機が進行する中、決して食料自給率の高くないガンジス公国が鎖国し、
食品の輸入を止めるのは自殺行為に他ならない。
それでも鎖国したのは、宗主国であるアトランティス王国からの圧力があったためで、他にも冷害や獣害に見せかけて不作をもたらす等の工作活動が秘密裏に行われていた。

それらが功を奏して、王国の思惑通り、公国は内戦の準備に入る。
農業や漁業等の一次産業を中心とする南部に北部が侵攻し、優れた技術力に物を言わせて、アトランティス系ガンジス人が日系ガンジス人を殲滅せんめつする見立てだった。

結局はめしテロで食糧が底を尽きかけた上、食事の代用品として期待されていた「身体能力を強化する薬」の発売をミトー・アーセナルが意図的に見送ったこともあり、内戦の誘発は未遂に終わる。


将来的に南北事変が勃発してしまうものの、この件で危機感を覚えた南部が手立てを打つ時間を稼げたのは大きい。
ミトー・アーセナル主導で兵士の育成に力を入れた結果、北部が侵攻してきた際には速成訓練を施した民兵の投入により、戦局を好転させている。

登場人物

(立ち絵はお借りした有料素材のため、低解像度かつ背景ありで掲載)

名刀みとう 風漣かれん - Mitoh Karen


名刀みとう家当主の孫で、私立女聖めへずり学院ガンジス分校に転校させられる。
何かと癖が強い一族の生まれながら、比較的真っ直ぐ育った珍しい例。

割と何でもすぐできるようになるが、あまり上達はしない。
ただ、そのお陰で重たい消火器を難なく振り回せたりしているので、土壇場で力を発揮するタイプと言えよう。

事件後、レイナの治める国に亡命した後の足取りはようとして知れなくなった。

レイナ・インドランシス - Reina Indlandsis


賞金ランク1位の賞金稼ぎ"女王レイナ"その人で、メガラニカ帝国の支配下にある小国の女王。
ハンナ・アードラーエリザベスが引退したことで繰り上がり的に賞金女王となるが、持ち前の権力や財力をフル活用した策略により、数十人の賞金首が所属する反政府組織を壊滅させたりと、その実力は折り紙付き。

本人は自覚していないが、師匠のハンナと似た行動を取りがち。
誤射を装ったり、本当にどうしようもなくなったら自分ごと付近一帯を吹き飛ばしたりと、中々に強かな手段へ出る。

姉弟子に当たる"処刑人ブロー"とは反りが合わず、それゆえにハンナ一派とは距離を置いていた。

木造こづくり サラ - Kozukuri Sarah


火炎魔法を得意とする御三家、火作こづくり家の末裔まつえい
供与されたハンナの脳細胞を移植することにより、封印されていた力を取り戻す。

元々、自ら進んで学級委員になるほどの真面目な性格だった。
甘いマスク、そして「働かなくても一生遊んで暮らせるようになる」という甘言に惑わされた挙句、一生を棒に振ってしまう。

逮捕後は移植した脳細胞を取り除かれ、再び魔法が使えなくなる。

宇都宮 ウルスラ - Utsunomiya Ursula


ロボット研究会の会長。
とはいえ、他の会員はおらず、廃会の危機に瀕している。

起死回生を賭け、先代や先々代から積み立てられてきた会費とお小遣いを全て投げ打ち、民間向けモデルのブッチャーを購入。
競技大会のカスタマイズ部門での優勝、そして知名度向上による会員獲得を狙っていた。

事件後、その優秀な腕を買われてミトー・アーセナルにスカウトされるも、普通に暮らしたいとの理由で丁重にお断りしたらしい。

龍造寺 リディア - Ryuuzouji Lydia


三道部の部員。
最も厳しいことで有名な部活に入った結果、人格から立ち居振る舞いに至るまで軍隊然としたやり方で"矯正"され、お手紙口調でしか話せなくなった。

生来、大規模災害を予知する能力が備わっていた。
その関係で緊急放送システムへのアクセス権限が与えられており、いざという時は国内全域に警告する任を負う。

システムへのログインに必要な多要素認証用のデバイスを"紛失"した件について責任を問われるも、普段の行いゆえに信頼が厚く、テロ実行犯による窃盗の被害者という扱いに落ち着いている。

毛利 繝「繝医リ繝ェ - Mouri ��������


アトランティス王国の特殊工作員。
英語教師や刑事、人種差別主義者といった様々な顔を持つ。

物理的な意味での顔も多々持ち合わせており、必要に応じて別の顔へ張り替える。
単独で工作活動を行うスパイ、いわゆるシングルトンとして今回の任務に当たるよう命じられ、自分の実力が認められた証左と考えていた。

ちなみに、彼の発言「海底人は髪の色で簡単に見分けられマス。金髪ならアトランティス人、銀髪ならメガラニカ人という具合に」は真っ赤な嘘であり、鵜呑みにするべきでない。
分かりやすい身体的特徴で区別させ、差別を助長しようとしている。

逮捕後、留置所にて謎の繧エ繧ッ繝√Η繧ヲ繧キを遂げている――この人物について書こうとすると、なぜか所々文字化けしてしまうのは困りものだ。

長尾 ナザリオ - Nagao Nazario


体育教師にして、生徒指導主任。
品行方正なお嬢様が集まる女聖めへずり学院での指導には物足りなさを感じていたが、当校唯一の問題児であるレイナを追う時は生き生きとしている。

厳しいだけの堅物かと思いきや、意外と楽しむことも大事にする模様。
彼が顧問を務めるテニス部はエンジョイ勢に大人気な一方、ガチ勢には本格的な指導を行ったりと、部員全員が楽しめる場として有名だった。

教会でカレンを袋小路に追い詰める前、階段を降りたところで一度追いついたのに捕まえなかったのは、改心して投降する猶予を与えたかったからとのこと。

小笠原 オリアナ - Ogasawara Oriana


ミトー・アーセナルの子会社、ミトー・セキュリティの社員。
テロ予告があった女聖めへずり学院に警備員として潜り込み、カレンの護衛に当たっていた。

厳しい選抜試験を勝ち抜き、この任務を任される。
腕は確かだが、木造こづくりに異変を感じて詰め寄りながらも、発砲することなくやられてしまう辺り、持ち前の優しさが甘さとして出てしまっていたのは否めない。

重度の熱傷を負った皮膚はリキッドスキンに交換され、元通りの外見になると同時に防弾能力を獲得した。

ブッチャー - Bu7-ch3Я


ミトー・アーセナルとメガラニカ帝国が共同開発した新型の戦闘用アンドロイド。
製品IDのBu7-ch3Яが偶然にもButcherのLeet表記だったので、ブッチャー(肉屋)という製品名が付けられた。

本製品は寒冷地仕様のため強熱に弱く、木造こづくりとの戦いでは真価を発揮できずに終わる。
「鶏でも豚でも牛でも、素手で180秒以内に挽肉へ加工できます」という売り文句から分かるように近接格闘を得意としていて、これは極度に気温が低い戦場では銃が凍り付いて動作しなくなる等の問題が往々にして発生するためとされていた。

しかし実際のところ、最近の銃は超低温下でも安定して使えるだけの性能に達している。
どちらかと言えば食料や弾薬が尽きた極限状態で動物の狩猟や解体を行い、その肉を兵士に貴重なタンパク源として提供するため、すなわち名前が示す通り肉屋のように立ち回るためという説が最も有力。

エルメス - Hermes


女聖めへずり学院の泉に宿る神。
見る者によって姿が変わるらしく、カレンのような日本人には女性に見えるのだという。

南北事変の際、件の泉は戦闘やゾンビパウダーによって出た多数の遺体を埋葬するのに使われた。
そのため、約100年後に""がレディと対峙した時は平地となっている。

泉の掃除をすれば、さも困った時に助けてくれるかのような物言いをするが、全くもってそんなことはない。

名刀みとう 氷人きよひと - Mitoh Kiyohito

カレンの祖父。
名刀みとう家当主にして、ミトー・アーセナルのオーナー社長。

名刀みとう一家殺害事件で命を落としたが、役員達の意向で彼の死は伏せられ、以降は生前の記憶から作られたAIによって会社経営が行われている。

事件後、レイナに拳銃を隠させたのは"予言者"からの指示があったからとされている。
人間とゾンビが共存できるようにするための道具として、""達へ引き継がせることは成功したものの、結局は和平条約の締結によって南北が協力してゾンビを駆逐することで事態は鎮圧された。