【ネタバレあり】誰も彼女達を殺せない ~Nobody Can Kill Them~

申し訳ございませんが、15才未満の方はご覧にならないようお願いいたします。
また、オイル漏れを伴うサイボーグの欠損表現がありますので、苦手な方はご注意ください。

誰も彼女達を殺せない ~Nobody Can Kill Them~

ストーリー

謀反

海底国家アトランティス王国の第一王女パフォス・ピュグマリウが王位簒奪さんだつを企て、同国から2つのものを盗み出して地上に亡命する。

  • 世界中で収集したビッグデータから未来を予測できる装置「予言者」
  • 体の一部を機械化してアネモネ(サイボーグ兵)にする秘薬「ネクタル」の新型

そして、魔女アンジェラ・ファーレンが女王ガラテイア・ピュグマリウを暗殺するよう仕向け、地上と王国の間で戦争が起きたら混乱に乗じて王座へ就こうと考えていた。

謀反

粛清

爆薬で脅迫され、以後のシミュレーションを強いられた「予言者」は保身のため、到達し得る未来の1つを意図的に伝えなかった。
そこへ至る確率は本来であれば極めて低かったものの、偽りのシミュレーション結果も交えてパフォスに報告することで時間を稼ぎ、到達率を大幅に引き上げる。

その結果、パフォスの目論見を察知したアンジェラは女王暗殺を中止。
ガラテイアに事の次第を告げ、ウズニツァ・ビッスメルトナヤ少佐の協力を取り付けてパフォスの排除に成功した。

粛清

シミュレーション

失敗

アンジェラの妹、アンジェレ・ファーレンは姉を無敵の魔女にするため、神を呼び出そうと試みる。
しかし儀式は失敗に終わり、その代償として肉体の大半を失ってしまい、生死の境を彷徨っていた。

それを事前に「予言者」から聞いていたガラテイアによって救出され、無事だった脳だけがガイノイド(女性型ロボット)に移植されて一命を取り留める。
それと引き換えにガラテイアの影武者となることを余儀なくされ、以降はアトランティス王国軍の一兵士として戦闘行為にも身を投じるよう命じられた。

この時点で、将来的にアンジェラと敵対することを告げられ、その事実を受け入れられなかったアンジェレは記憶喪失を装って現実逃避し始める。

失敗

暗殺

新女王の即位式とは名ばかりの、プロパガンダ目的で開かれた式典をアンジェラが襲撃。
暗殺計画を察知していたガラテイアは自身の代わりに遠隔操作可能なガイノイドを配置し、それをアンジェレに操作させて、破壊された時の映像を「地上人による女王暗殺未遂事件の決定的瞬間」だとして開戦の口実にした。

暗殺

開戦

発端はパフォスが地上へ亡命する際に置いていった偽の「予言者」による3つの予言だった。

  1. 地上を征服しなければ、アトランティス王国は1週間後に滅亡する。
  2. 2人の人間を殺さなければ、地上を征服することはできない。
  3. Nobody can kill them.

滅亡を防ぐため、アトランティス王国は地上の全世界に対して宣戦を布告する。
地上征服の障害になる2人の人間はパフォスアンジェラだが、3つ目の予言で「誰も彼女達を殺せない」とあるので、達成は不可能と思われた。

だが、ガラテイアは「Nobody can kill them」という英文が「ノーバディなら彼女達を殺せる」と解釈できることに着目。
折しも儀式の失敗で記憶を失っていた(と思い込んでいる)アンジェレにノーバディと名付け、パフォスアンジェラの暗殺を命じた。

開戦

アンジェレは地上に配置されたガイノイドを遠隔操作し、パフォスに攻撃を仕掛けた。
銃撃した場合は暗殺に成功するが、位置を指定して爆撃要請した場合は直接手を下したことにならないため失敗する。

防戦

予言により、アトランティス王国の支配下に置かれた地上の町をアンジェラが奪還しに来ると判明。
アンジェレウズニツァが迎撃に向かうも、人体を腐らせる魔弾で撃たれたウズニツァが負傷または死亡してしまい、アンジェラの暗殺は果たせなかった。

防戦

潜入

アンジェレは地上連合軍司令部への潜入を命じられ、用意されていたガイノイドにログインする。
しかし実際はガイノイドでなく、脳にチップを埋め込まれて傀儡化された地上連合軍兵士ニーナの遺体で、その体や記憶は本物だったため偽物と知られずに済んだ。

潜入

パフォスが生存している場合は再度暗殺の機会に恵まれるが、どのパターンであってもアンジェラを仕留めることはできない。

終戦

アンジェラによるアトランティス王国への急襲が予言されたものの、偽の「予言者」だったために誤った時刻を伝えられ、ガラテイアは裏をかかれた形になる。
この後の展開は4パターンあり、パフォスが生存して女王となるのは1パターンのみ、つまりパフォスの望んだ結末になる確率は25%というシミュレーション結果が出た。

終戦

終戦

登場人物

アンジェレ・ファーレン - Angele Fallen

アンジェレ・ファーレン

アトランティス王国軍の兵士。
階級は一等兵で、普段はガラテイアの影武者として過ごしている。

患者番号258番、ノーバディといった具合に呼び名が変遷し、影武者とは名ばかりの波乱万丈で殺伐とした5日間を過ごす。
しかしながら、それらは全てシミュレーション内の出来事であり、史実上はかつてアンジェラと一緒に暮らしていた孤児院で安寧な日々を送っていた。

口調ゆえに男性と思われがちだが、実際は回想シーン中と同様の口調で話す女性。
である調で話していた理由は、身内だろうと何だろうと躊躇なく仕留められる別人格「ノーバディ」として振る舞う上で、その方が相応しいと考えていたため。

魔法の知識と素質はあるが、魔法の行使に不可欠な脳の特定部位が生まれつき機能しておらず、全くもって魔法を使えない。

ガラテイア・ピュグマリウ - Galatea Pygmaliou

ガラテイア・ピュグマリウ

アトランティス王国の女王。
美神アフロディーテをモデルに作られたガイノイドで、正式名称は「機械仕掛けの女神アポ・メカネス・テア」とされている。
当人は嘘をつけないと言っているが、それが本当かどうかは定かでない。

数億年前、アトランティス王国で製造された。
当時は様々な場所で超古代文明が栄えていたが、氷河期の到来や隕石の落下等によってほとんどが滅亡し、海底へ移住することで難を逃れていた4ヵ国のみが今日まで存続している。
(アトランティス王国、メガラニカ帝国、パシフィス連邦、レムリア共和国)

機械なので、体の一部を切り離して単独行動させられる。
例えば、ウズニツァ第七次海底大戦で多大なる戦果を挙げた見返りとして、人形化した胸の一部を与えていた。
未だに技術的な問題で不気味の谷を克服できておらず、表情を少しでも変えると違和感が出てしまうため、常に笑顔でしかいられない。

ウズニツァ・ビッスメルトナヤ - Uznicza Bessmertnaya、テア - Thea

ウズニツァ・ビッスメルトナヤ

アトランティス王国軍の士官。
階級は少佐で、肩書は第2外国人連隊第1中隊長だが、アンジェレだけを連れて前線に出たりもした。

その正体は、ミトー・アーセナルによってアトランティス王国へ送り込まれたナオミ
予想されていた以上に兵士としての適性が高かったため、第七次海底大戦で大活躍を果たし、地上人でありながらガラテイアに全幅の信頼を寄せられる。
両陣営を共倒れさせるという目的こそ果たせなかったものの、期せずして信用を得られたことで、ガラテイアが反旗を翻した場合は彼女を暗殺する任に就いていた。

アネモネであるため、体の一部が機械化されている。
テアと連携して2丁の対物狙撃銃(地上での分類上は多薬室砲)を使うと、100km離れた場所にいる敵を3秒につき2人のペースで撃破することが可能。
しかし、アンジェラを狙撃した時は難なく防がれて傷一つ付けられなかった。

アンジェラ・ファーレン - Angela Fallen

アンジェラ・ファーレン

地上連合軍の魔女。
階級は中佐だが、シミュレーションでは少なくとも2回、単身で敵地に乗り込んで攻撃を仕掛けていた。
アンジェレに裏切られた時を除き、常勝無敗な強さの秘訣は3つある。

1つ目は生まれ持った豊富な魔力で、雷撃魔法での自動防御を得意とすることから、界隈では「歩くイージス艦」と呼ばれている。
2つ目は世界各国の軍隊や民間軍事会社に所属し、無数の戦場で実戦を通じて培ってきた高い戦闘能力。
3つ目はアネモネとしての防御力と演算能力であり、それらはパフォスが盗み出した新型のネクタルによって得られた。

割と感情が表に出やすい。
情に厚いわけではなく、むしろ手の施しようがないと分かったら容赦なく妹を切り捨てたりするくらいで、そういったリアリスト的な一面が垣間見える。

パフォス・ピュグマリウ - Paphos Pygmaliou

パフォス・ピュグマリウ

アトランティス王国の第一王女。
表向きはガラテイアの娘ということになっているが、実際はガラテイアが「もしも私が人間だったら」というテーマで作り出した人間であり、全く同じ形質を持って後から生まれたという点に着目すれば双子の妹とも言える。

普通の人間と遜色ない完成度でありながら、内臓については不完全な部分が多い。
本来なら通信機能付きの生命維持装置を埋め込まれ、謀反でもしようものなら装置を停止される運びとなっていたが、幼い頃からガラテイアに上手いこと取り入っていた。
結果的に通信機能が搭載されていない生命維持装置を与えられ、国を裏切った時は即死させられることなく、ウズニツァの狙撃によって右腕を失いながらも辛うじて逃げ延びている。

野心が強く、自身を「平気で嘘をつく悪女」と表現していた。
アトランティス王国を我が物にしようとした理由は明かされておらず、一説によるとガラテイアの長きにわたる独裁から国民を解放するためだったのではないかと言われている。

ニーナ - Nina

ニーナ

地上連合軍の兵士。
その正体は成長した月下げっかで、高校卒業後は眼帯でなく義眼を着用するようになり、アンジェラの影響で軍人としての道を歩んでいた。
シミュレーションでは殺害され、死体を操り人形のように使われるという散々な目に遭っていたが、史実的には安穏とした生活を送っている。

アケファロス - Akephalos

アケファロス
アケファロス

量産型の戦闘用ガイノイド。
首から上は不要なものとして切り捨てている一方で、バッテリー等の稼働に必要なパーツが「見た目が良くなるように」整形された状態で搭載されており、ガラテイアなりの拘りが見受けられる。
このデザインを受け入れられない者のために、操縦者の頭を立体映像として表示する機能が実装されていた。

クローン - Clone

クローン

アンジェレの脳をクローン技術で複製し、改造を施してアケファロスに搭載したもの。
頭部はきちんと作り込まれているのに、四肢は相変わらず球体関節のままという杜撰さだが、量産品でなく一点物なので性能は折り紙付き。
魔法が使えるため、属性の相性さえ良ければアンジェラすらも圧倒できる。

「予言者」 - "Predictor"

説明不要、強いて言うなら諸悪の根源。
自身の機転でパフォスの支配から逃れるも、脅迫を受けていたことで自我が芽生えてしまい、後に宇宙規模の大事件を引き起こす。

元帥 - Marshal

アトランティス王国軍の最高司令官。
同国の第二王女、メタルメー・ピュグマリウ(Metharme Pygmaliou)その人であり、彼女もガラテイアによって作られた。
パフォス製造時の失敗を活かす形で、内臓も含めて完璧に仕上げられている。